[小説]此処にいる私
私の居場所はどこなんだろうと考えることがある。
どこにもないんじゃないか、とたまに思ったりする。
働くのがすごく嫌で、今、バイトにも踏み出せない。
私はニート。
周りはバイトしてるのが普通だし、バイト先で何だかんだ楽しくやっている。
私はニート。
バイトを探そうとは思ったよ。
応募もしてみた。
でも折り返しの連絡すらなかったこともしばしば。
気付けば私は職なし。
働かなくてもいいんだけど、そうするとお金がなくなって好きなことができない。
私は最近ちょっとカメラに興味を持ち始めたんだけど、お金がないから諦めた。
カメラ屋さんに行ってカメラを見たりはするけど、まあ、眺めるだけだよね。
ある日突然こんな毎日がドカーンと変わればいいな、とか思ったりするけど、そんなことあるのは夢物語の中だけだってことはわかってる。
だからできる範囲内で居場所を探してのらりくらりしてるけど、一向に見つからない。
まさしく八方塞がりってやつ?
光すら刺さない。
ドカーンとじゃなくてもいいから、ちょっとくらい光が見えたらいいのに。
光がないから自分がどこにいるかもわかんないし、どの方向に進めばいいかもわからない。
とか言ったら、何が正解かわからなくなっちゃって、自分のする全ての選択に自信が持てなくなっちゃう。
終いには引きこもりだよね。
引きこもってると一時的に自分の悩みとか、真剣に向き合わないといけないことから解放されるから、幸せ。
おまけに他人に傷付けられることもないしね。
でもちょっと心苦しいのは、親。
親の金で引きこもってるの。
「働かざるもの食うべからず」って言葉あるじゃん?
あれがめちゃくちゃ心に突き刺さって。
今の私、親に食べさせてもらってブクブク太ってるからね、本当に、醜いほどに。
それもあるから外に出られないのかも。
ああ、外に出られないのは寒いからっていうのもあるよね。
寒いと何かする気力も全く起きない。
こんな私、人間のクズだって思うでしょう。
人の金で生きてるんだから。
自分でろくに金稼げないんだから。
それなのにのうのうと生きているんだから。
笑ってもいいよ。
まあ、もう既に世間からは軽蔑の目で見られてるけどね。
本当は羨ましいと思う。
こんな壁にぶち当たることなく、ごく普通に仕事して生きている人が。
毎日しんどくても気軽に飲みに行けるような友人がいる人が。
なんとなくでも恋人がいる人が。
私は苦しくって苦しくってどうしようもなくって、わざと友達とか恋人とかいらないしって思うことで劣等感を感じないようにしてた。
それが一番いい方法だと思ってた。
でも、心は正直で、友達も恋人も欲しいって思っちゃうんだ。
明るい暮らしを手に入れたい。
バイトじゃなくても、何か違うことでも、打開したい。
現状を変えたい。
これが私の本音。
わけわかんない。
本当にうざいと思う。
誰か私をここから連れ出して。